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2019.02.21

地域社会全体で子育てをする環境を創って行きたい-西岡医院

小児科、整形外科、内科などで地域医療を支える西岡医院は、介護支援センター、病児保育施設、地域子育て支援センターを併設しています。介護老人保健施設や総合病院とも連携し、地域の医療・福祉・子育てのニーズに広く応えています。

 

西岡医院が運営する病児保育室では、外傷、心身症、医療的ケアを要する子どもの受け入れなど多様な要望に対応しています。さらに、産後うつや育児不安などに対する母親支援も大切な役割の一つと考え、積極的な取り組みを行っています。

 

また、子育て支援センターでは、親子ひろば、親育ち講座、管理栄養士や助産師による相談、地域や次世代との交流等、医療機関に子育て支援センターが併設していることで子育て支援の輪が広がり、さまざまな家庭を支援できる環境づくりを行っています。

 

地域に根ざした子育て支援について、理事長の西岡さんにお聞きしました。

 

 

 

▞ 医療法人社団 仁泉会 西岡医院 西岡 敦子 理事長にインタビュー

 

-地域医療の充実を目指す。

 

西岡医院はもともと内科が専門でしたが、わたしが母から医院を受け継いだ際に地域医療の充実を目指し、整形外科と小児科を新設しました。

 

地域医療の充実を考えるきっかけとなったのは、妊娠、出産、育児を経験している女性たちの声からでした。以前勤めていた病院でアメリカ在住の女性を担当した際、アメリカでは妊娠をしたタイミングから夫婦で小児科クリニックを回り、子どもが産まれてからもずっと付き合っていくかかりつけ医を決めるという話を聞きました。

 

日本でも妊産婦等に対して、育児不安の解消や子どものかかりつけ医の確保を目的に小児科医等が育児に関する保健指導をする、プレネイタルビジット(出産前小児保健指導)事業はありますが、なかなか広まっていません。こういった課題を少しでも解決するために、地域医療を充実させたいという思いが強かったですね。

 

 

-病児保育の必要性。

 

小児科を新設してすぐに子育て支援の大切さを感じるようになり、小さな倉庫を改装して予防接種や乳幼児健康診断、子育ての相談を行うチャイルドルームを設置しました。チャイルドルームを設置した当初から保育士に常駐してもらい、お母さんがゆっくりと相談ができるように、子どもの面倒を見てもらっていました。

 

子育て中の女性の悩みは様々ですが、中には深刻なものもありましたね。子育てをしながら働いている女性がどうしても仕事を休むことができず、その上、子どもの面倒を見てくれる人もいないなど、困るを越えた深刻な悩みをたくさん目の当たりにしました。そういったお母さんたちのニーズに応えるために、病児保育の必要性を強く感じていました。

 

ただ、当時は高松市に病児保育の制度はなく、小児科医の間でも意見は様々でした。病児保育を実現させるために、毎年、市に要望を伝え、小児科医には子育ての現状や病児保育の必要性について粘り強く伝えていきました。そういった活動を続けていくことで少しずつ賛同者が増え、ついには病児保育室を開設することができました。

 

 

-母親のサポートも子育て支援のひとつ。

 

病気の子どもを預かり、最適な環境でそれぞれの病状に応じた保育看護を行うことが病児保育の大きな役割ですが、子育て支援という観点では、病気の子どもを看病しているお母さんのサポートをすることも重要な役割だと思っています。

 

病児保育にはいろいろな親子がやってきます。重い病気を持った子どもを日常的に看護しているお母さんのサポートをするため、子どもを預かることもあります。本来であれば、病児保育で医療的ケア児を預かることはほとんどありませんが、お母さんの様子を見てサポートが必要だと感じれば、預かるようにしています。また、子どもの病気の看護などに悩みを持っているお母さんも多いので、子どもを迎えにきた時に話を聞いたり、アドバイスをしています。

 

子育てをしていると、誰でも大変な時期があります。お母さんがその時期を乗り越えることができれば、子育てに前向きになることができます。その大変な時期を一緒に乗り越えるため、お母さん自身の良いところを伝えるなど、お母さんたちに寄り添ったケアをしています。そうすることで、少しずつ母親としての自信がつき、お母さん自身が成長していきます。そして、子どもに対して穏やかに愛情を持って接することができ、強い親子の絆ができていくと思います。

 

 

-みんなで子育てをする大切さ。

 

子どもを預かる時には愛着を持って接しています。最近、感じていることは、子どもが周囲から受ける愛着が不足しているのではないかということ。同時に、仕事と子育ての両立に疲れて、ストレスを抱えているお母さんが増えていることも気がかりです。子育てはお母さんだけでするものではありません。お父さんや地域の人たちみんなで支えあいながら行っていくことが大事です。

 

わたしの母は4人の子どもを育てましたし、わたしも4人の子どもを育てました。自分自身も周囲の人たちに育てられたと感じていますし、自分の子育ても周囲の協力を得て実現したものだと思います。周囲の人たちみんなで子育てをすることは特別なことではなく、とても自然なことだと思っています。

 

昔は、子育ては三世代で行うことが当たり前でしたが、今は親子だけということが多く、お母さんへのプレッシャーが強いと感じています。そういった環境が少しでも改善されるように、当院が運営している介護老人保健施設を活用して子どもと高齢者がふれあう機会を設け、世代を越えた交流を積極的に行っています。例えば、幼稚園の子どもたちが年に数回、高齢者施設を訪問することがありますが、そういった短い時間ではなく、いつでも子どもと高齢者がふれあえる環境があることが大事だと思っています。

 

 

-企業側の受け入れも大事。

 

今は、子育て支援に関する法律が少しずつ整備され、子育てと仕事の両立がしやすい環境になってきました。当院の従業員も常に3~4人程度育休を取得している状況です。育休の期間も1年~1年半取得している人がほとんどですね。

 

子育てと仕事を両立させていくためには、企業側の受入れも大事だと思います。育休を子どもが1歳になるまで取得できる体制があれば、お母さんたちも安心ですね。出産後にしっかり休みを取って職場復帰できる仕組み作りを行っていくことが、これからの課題だと思います。

 

また、職場に復帰してからも、子どもの行事に参加することはもちろん、子どもの様子が気になる時などに休みが取りやすい環境作りは必要ですし、たまに、1~2時間ほど早く帰ることができるだけでも、お母さんの負担はずいぶん軽くなります。仕事はもちろん大事ですが、家庭や子育ても大切にするような価値観を企業が持つことも大切だと感じています。

 

 

-更なる地域との繋がりを目指して。

 

子育てと介護の両方を抱えるダブルケアなど、女性の負担が一層増える中、お母さんたちが自分の思いを声に出すことができ、また、それを受け止めることができる場所を作りたいと思い、子育て支援センターを設立しました。目指したのは、小規模な支援センターです。たくさんの人が集まるような場所に行くのが苦手なお母さんにも気軽に遊びに来てもらい、小児科医や管理栄養士、看護師の専門家に子育ての相談ができる場所を作りたいと思ったからです。

 

地域全体を巻き込んだ子育て支援を実現させるため、設立当初から近くに住んでいる方たちを積極的に受け入れ、大事にしてきました。今では、商店街や近くの店舗などに協力を得られるようになり、ハロウィンの時にはみんなで地域を練り歩いて、お菓子をもらえるイベントを開催しています。

 

また、地域の中には助産師や歯科衛生士など、自分のスキルを活かして活動されている方たちがたくさんいます。支援センターがあることで、そういった方たちと出会うことができますし、病気や学校、幼稚園の問題など様々な子育ての悩みを、それぞれの分野の専門的な知識を活かしながら解決に向けたサポートを行うことができます。

 

平成25年からは、より困難を抱えた家庭と繋がるために、たかまつ地域子育て支援コーディネーターを当センターに配置し、利用者支援事業を行っています。子育て支援コーディネーターには積極的に地域に出向いてもらい、子育て中のお母さんの声を聞いてほしいと思います。その情報をこれからの子育てや母親の支援に繋げていきたいですし、子どもの虐待や貧困家庭についても広く支援していきたいですね。

 

地域に根ざした医療に取り組むことで、地域の中で高齢者も子どもも障がいを持った人もみんなが当たり前のように暮らし、助け合い、寄り添えるような社会を創って行きたいと思っています。

 

 

 

▞ 西岡 敦子 理事長ってこんな方

理事長 西岡 敦子(にしおか あつこ)

 

– 休日の過ごし方

 

ゆっくりできる休日は少ないのですが、夫が手入れをしているガーデンを眺めながら読書をしたり、仕事の合間に窓から外を見ながらコーヒーを飲む時間は至福の時です。

 

– 最近うれしかったこと

 

1月3日早朝に夫とこんぴらさんにお詣りし、昨年7月に開催された全国病児保育香川大会の成功のお礼詣りができた事です。

 

– 最近はまっていること

 

最近娘が購入してくれたBOSEスピーカーで、クイーンやMISIAや小田和正さんなどの音楽を聴いています。

 

– 働くママへのメッセージ

 

無償の愛情を子どもに注ぐ母親の存在は、子どもにとって安全基地となり一番大切な居場所です。その親子の光景は温かく心に響く感動があります。子どもの存在そのものを見て受けとめてあげてほしい。仕事と育児の両立で悩むときもあるでしょう。子どもと過ごす“今ここ”を大切にしてほしい。そして一人じゃない事を思い出して。私たち医療・保育スタッフがそばで見守っています。どんな小さなことでも相談してほしい。

 

 

 

▞ 会社の概要

会社名

医療法人社団 仁泉会 西岡医院

URL

http://www.jinsenkai.jp/top/

設 立

1995年1月

所在地

香川県高松市

事業内容

①医院の玄関を入ると、そこには温かい空間と安全安心な環境があること、スタッフ皆が子どもから高齢の方まで一人ひとりの患者さんを大切に思いやり、病気や怪我による不安を和らげられるように接すること、これは仁泉会設立以来の理念です。当院は、病児保育施設、地域子育て支援センター、介護支援センターを併設し、法人内組織の介護老人保健施設「鮎の里」「渡の里」や地域の総合病院とも連携し、地域の医療・福祉・子育てのニーズに広く応えていきたいと考えています。
②当院病児保育施設は、平成14年に開設し、また母親の不安に寄り添い居場所を提供するために、平成18年より地域子育て支援拠点事業を開始、さらに平成25年より支援の届きにくい困難を抱えた親子等と繋がるために利用者支援事業を開始し、小児科と3つの事業がチームとなり地域に根ざした病児保育、子ども・子育て支援を行っています。

 

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