2021.09.02
2020.03.11 |
元小学校教師がつくる新しい保育のカタチ - いちばん星保育園 高松牟礼
香川県高松市牟礼町のいちばん星保育園は、元小学校教師の園長により2019年4月にオープンしました。園の名前には、誰もが持っている自分自身のよさ=「いちばん星」をキラキラ輝かせたい、という想いが込められています。
園長は小学校教師のころ、義務教育現場で子育てに悩む親が増えていることや、親も子も「自己肯定感」が失われていることを目の当たりにし、義務教育につなげる新しい「保育のカタチ」を実現すべく、この保育園を立ち上げる決意をしました。
いちばん星保育園はどんな時でも幸せを営む家庭の応援者でありたいと言う、秋山園長にお話をうかがいました。
▞いちばん星保育園 秋山園長にインタビュー
–小学校教師からの転身
今でも小学校の現場に戻りたいと思うほど、子どもが大好きです。
教室は笑顔の絶えない幸せな空間で、生きる喜びや幸せの原点があると感じていました。
日々、いろいろな問題が起こっても、ひとつずつ解決することで子どもたちの成長が確かなものとなります。
共に成長を実感し、希望を胸に巣立っていく子どもたちを見送ることができる、何にも代えがたいとても幸せな仕事です。
しかし、今、義務教育現場では様々な歪みが生じています。
学級崩壊、小1プロブレム、教師のうつ病などの言葉が当たり前に聞かれるようになりました。そして、課題を抱えたまま小学校に入学してくる子どもたちの数が、年々深刻になってきたのです。
小学校教師としても、長い間保護者を支援してきましたが、もっと早い子育て段階での支援の重要性を強く感じ、保育園経営にチャレンジする決意に至りました。
– 保育の3つの柱
いちばん星保育園では、子どもも大人もひとりひとりが輝き、幸せな世の中にするため、大切にしていることがあります。
- 子どもが健全な大人へと成長していく基盤づくり
義務教育へのスムーズな流れをつくるため、子どもの発達段階に応じて基本的な生活習慣・態度が身につくように励まし育てていきます。
午睡のない5歳児には、「寺子屋いちばん星」と名付けた楽しいミニ授業を園長自ら行うなど、義務教育で大きく成長するための要素を養い、自信と希望をもって小学校へ送り出すことをめざしています。
さらに、子育て支援にも力を入れます。保護者とのつながりを大切にし、“親”としての育ちを支えます。
- 子どもの成長を第一に考えた食育
日本特有の食文化を大切に、ごはん、味噌汁、旬の食材で、和食を中心とした安心安全な給食を提供しています。
地元農家と提携して香川県産の無農薬米や無農薬野菜を使用しているほか、動物性たんぱく質は魚中心とし、乳製品・卵・肉は基本的には出していません。
こだわりの味噌は素材を厳選し、園児による手作り。雑穀や発酵食品を積極的に取り入れ、丈夫な体づくりをめざしています。
今後は食育のブログやお便りの発行、保護者との勉強会などを行い、積極的に園としての食育を広めていきたいと考えています。
- 小児科での経験豊富な看護師による子どもたちの健康管理
登園後に発熱や体調不良になっても、専門看護師のもと、お迎えまでお預かりが可能です。健康相談は随時行っており、日ごろのちょっとした健康面の不安などを気軽に尋ねられるような雰囲気づくりを心がけています。
また、母乳育児を希望される方は、搾乳パックの取り扱いなど衛生面の指導も行います。
保護者の方からは、大きな病院の小児科で長く勤務してきた看護師がいるので安心だという声を多くいただいています。
– おやつのこだわり
おやつは4回目の食事と考え、ほぼ毎日おにぎりを出しています。
大人が与える食事に完全依存している乳幼児期は、身体が形成される過程でとても大切な時期。だからこそ、本当に大切なものをしっかりと食べさせたいのです。
じゃこ、ひじき、かつお節などを混ぜたおにぎりや、塩むすびに煮干しを添えて出すことも。子どもたちは煮干しを頭からポリポリおいしそうに食べています。
先日は近所の方から無農薬の大根をいただいたので、葉をほんのり甘い醤油味にして出しました。今どき、おやつに大根の葉を出す保育園なんて珍しいと思いますが、子どもたちには食材本来のおいしさを感じながら、大切な栄養をしっかりと吸収してもらいたいと思っています。
– 喜びの声を力に
いちばん星保育園ではご家庭の支えとなれるよう、朝7時から夜20時まで延長保育料なしで利用できる体制を整えており、保護者の方から喜ばれています。
また一人ひとりの保育士が温かく、どの先生も信頼できると言っていただくこともうれしいですね。
こだわって提供している給食については、特に味噌汁がおいしいと評判で、最近子どもが家の味噌汁を食べてくれないという声も聞くほどです。
この保育園での生活が楽しくて仕方がないような、生き生きした子どもの姿を見る時や、保護者の方から保育園生活を満足してご利用いただいていることが伝わってきたときがとてもうれしいです。かわいい子どもたち・温かい保護者様・互いに尊重し合えるすばらしい職員に囲まれて、毎日が喜びと幸せにあふれています。
– 元小学校教師が保育園を経営するということ
ひと昔前、教育界では「小中連携」が口々に言われ、今は「幼・保・小連携」の大切さが見直されています。そのような意味で、小学校教育を長く経験してきた教師が保育園や幼稚園を経営することは、大きな意味があると考えています。
幸い、私は高学年を多く担任してきたことで、それまでに子どもがどのような困難や課題に直面するのか、どのようなことを大切にしていけば健やかな成長につながるのかを学んできました。
今の小学校は、なかなか成長の軌道に乗りきれず苦しんでいる子ども・保護者が多いように思います。そのような社会だからこそ、子育てが始まったばかりの家庭に対し、先を見据えて支援していくことにこれまでの経験が生きると思うのです。
そして、そこに自分は挑戦したい。
将来の目標は、小学校教師が保育園の園長として経営をしていく試みが、それなりの価値あるものとすることです。そして全国の志ある小学校教師が、自身の経験や個性を生かして保育園を立ち上げ運営し、社会に広がっていけばとてもうれしいです。
– 美しいものを求め続ける
愛・正義・努力・友情・感謝・勇気・思いやり・・・複雑な世の中だからこそ、私はいつの時代でも変わらない美しく普遍的な価値を大切にしています。
そのような中でこそ、子どもも大人も自尊心が育まれ、希望をもって強く歩んでいけるのだと信じているからです。困難や矛盾にぶつかっても、「美しいもの」を信じ求めていけば、答えは自ずと導き出されるはずです。
これからも、子ども・家庭・職員・地域、すべての人を尊重し、ともに美しい言葉をかけ合えるような、幸せ溢れる園創りに全力を注いでいきたいと思います。
▞秋山達郎園長ってこんな方
いちばん星保育園 園長 秋山 達郎(あきやま たつろう)
– 休日の過ごし方
まだ立ち上げたばかりなので、ほとんど保育園で過ごしています(笑)
合間に家族でテニスをしたり、カフェやうどん巡りをしています
– 最近うれしかったこと
保護者の方がブログにコメントをくださり、胸が熱くなりました。
– 最近はまっていること
園庭の芝の管理をしているうちに、芝がかわいくなりました!
– 働くママへのメッセージ
子どもは幸せを運んでくれます。その幸せを感じながら、すてきな家庭を築いていけるよう、保育園としてバックアップしていきます!!
▞ 会社の概要
会社名 |
一般社団法人いちばん星プロジェクト・いちばん星保育園 高松牟礼 |
URL |
https://firststar-pro.org/ |
設 立 |
2018年4月4日 |
所在地 |
香川県高松市 |
事業内容 施設の目的 |
事業内容:保育
目 的:保育(子育て)を通して、生涯にわたって豊かな家庭生活を営む基盤づくりの支援をする。 |
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